062998 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~青~


人はいつか 「現実」から「白」へ辿りつく


少女は「少女」と会った
「少女」は問う


彼を知っている?


廻り続ける「青」
そこから逃げ出すことは出来なくて
いつも少女の背中にあった
少女の「青」は「赤」だった
その「赤」は消えることはない
だから「少女」は問う


彼を知っている?


「少女」と出会ったのは 雪の降る朝だった
水面下に映るは 少女の「青」 そして「少女」の手には彼の「青」
「青」さえも映し出す水面下
流れる「橙」は やがて「青」へと変わる
それが幸をもたらすかは また別の話……
そして少女は決意をする
忘れかけていた 自分の意思を
今もう一度 つかむことを――



目覚めたのはベッドだった
私は死んだはず 
  どうしてまだこんなにも生きている感覚があるの?


あなたはまだ死んでいない


「少女」は言った


ここは、生と死の狭間 あなたが現世に戻れる最後の場所 
そして あなたの「青」


「少女」の手のひらには小さな雫
それは 彼が流した涙
「少女」は そっと差し出す


行きなさい あなたを待っている人が 今「現実」に飲まれようとしている


「少女」の瞳は揺らがない
私は 何も言わず ただその手にそっと私の手を重ねた
その手は 温かくはなかった
ただ 彼を感じた
そうだ
私は 彼に言わなければいけない
あの時言えなかったことを
あの時言いたかったことを
私は 彼に応えられなかった
だからこそ――

少女の「青」は「赤」だった
その「赤」から逃れることは出来ない
だけど その「赤」から逃げてはいけない
少女を待っている人がいた
少女を必要としている人がいた
たった 一人だけ
そのたった一人が 少女の決断の引き金(トリガー)となった


待っていて 今 行くから


少女は「碧」を「少女」に告げる
「少女」は その手を握り返す

――あなたに 神のご加護を

そして水面下は揺らぎを止める
男もまた それを届けた

手をかざし 終わりを告げ そして新たな揺らぎを待つ
水面下は語り続ける
彼と彼女が 「白」に辿りつくまで……

「青」の世界
それは 「橙」と共に積み重ねられていく「現実」
それが「白」となる日は 訪れるのだろうか……




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